努力の才能がない

いわゆる「普通に働く」みたいなレールからは外れるかもしれないが、もともと漫画家という自由業に憧れていたので、そのレールから外れることは怖くなかった。

結局、苦手なことを無理してやれるように頑張らせるから「できない」と劣等感やネガティブな感情を持つし、もし努力してできるようになっても、無理していればストレスを感じる。

そしてその不得手なことを克服したばっかりに、その方向に進んで、本当は不得意なことを一生やり続けている人もいるように見える。

でも、それよりも単純に自分の得意なこと、できることを見つけて、そこに進んだほうが健康的だ。

もちろん、努力できるというのは素晴らしいし、それも才能。だから努力を否定する気はまったくない。

でも、僕は「努力」ができないし、努力の才能がない。準備したり練習したり、「できるようになるために頑張ること」がそもそもできない。

だから得意なことしかやらないし、得意なことだから失敗もしないし、できないことに対してコンプレックスも生まれない。

世間は「やればできる」「努力すれば叶う」とかいいがちだが、努力にも才能が必要で、その才能がない僕みたいな人間もいる。

で、そういうやつの一発逆転が、ラップだったりアートなのだ。僕はそれを早い段階で見つけられたから、本当にラッキーだった。

※本稿は、『ブレん人』(株式会社コスミック出版)の一部を再編集したものです。


ブレん人』(著:呂布カルマ/株式会社コスミック出版)

呂布カルマの言動の根っこには「努力の才能がない」「コスプレと本物」「目標を定めない」など独自の人生哲学があった。呂布カルマがこれまでの歩み、自身の頭の中を惜しみなくさらけ出す。人気急上昇中のラッパー呂布カルマ、待望の初書籍。