クビから始まるサラリーマン
その点、ラップは結果が出るまでがとにかく早かった。ステージでラップしたら、それだけでもうラッパーだ。漫画に置き換えたら、ひとコマ描いた瞬間に雑誌に載るようなスピード感。
でも、実際漫画だとそんなことはあり得ない。
漫画を描き続けることは僕の性分的に無理だった。
ラッパーとして生きていくことを決めたものの、すぐにラップで食えるワケもなく、アルバイトもしたし、30前には一般企業に就職した。
最初の会社はクビになった。
決められたルーティンをひたすらこなす仕事だったのだが絶望的に向いておらずミスを連発した。完全に自分に向いていなかった。
でも、「俺にはラップがあるしな」と気にもしなかった。