安奈淳さんが7月10日の『徹子の部屋』に55年来の友人・佐良直美さんと登場。2人が親しくなったきっかけや、58歳で逝った最愛の母の思い出を語ります。今回は大病をきっかけに始めた《持たない暮らし》と、人間関係について安奈さんが語った『婦人公論』2023年4月号の記事を再配信します。
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宝塚歌劇団のトップスターとして一世を風靡し、75歳の今も歌手として活躍する安奈淳さん。しかし53歳のときに難病を発症し、歌を歌えない時期が長かったと言います。闘病の末にたどり着いた、シンプルで心地よい生き方とは(構成=平林理恵 撮影=宅間國博)
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宝塚歌劇団のトップスターとして一世を風靡し、75歳の今も歌手として活躍する安奈淳さん。しかし53歳のときに難病を発症し、歌を歌えない時期が長かったと言います。闘病の末にたどり着いた、シンプルで心地よい生き方とは(構成=平林理恵 撮影=宅間國博)
手放せなかった1台のピアノ
若い頃は収集癖があって、レコード、犬の置物、帽子……いろいろ集めていました。古着屋さんでアメリカの騎兵隊がかぶっていたような帽子を見つけたりすると、嬉しくてつい買ってしまうの。結局、使わないんですけどね。
そんな時代を経て、今は一転、ものをできるだけ増やさず、必要最低限で暮らしています。それは仕事も人間関係も同じ。だって、たくさん持っていると悩みが増えますから。
こんなふうに考えるようになったのは、50代で大病を患ったことがきっかけです。50歳頃から体調が悪かったのですが、「疲れているだけ」と思い込み、無理に無理を重ねてしまって。激しいむくみと呼吸困難で緊急入院したのが、53歳のとき。
検査の結果、膠原病の一つである全身性エリテマトーデスを発症していることがわかりました。免疫機能に異常が起こる難病で、当時は治療法が確立しておらず医師も手探り。いろんな薬を試したのですが、その副作用でうつ状態になってしまったんです。
そのときに何もかも煩わしくなり、必要最低限のものを残して、洋服もアクセサリーも絵も家具も車も、みんな手放してしまいました。仕事を休んでいたので経済面の不安があり、「生活をダウンサイズして節約しなくては」という気持ちも強かったのだと思います。