なぜ小心者の私がテレビに出ているのか

ーー大部分のヴェールは剥がれた。近寄りがたいはずだった彼女は多くの悩み、悔しさを抱えた同志であり、ロールモデルだった。そして最後に残ったヴェールであり疑問。それは小心者で、人前で意見することが苦手という彼女がなぜ、テレビの仕事をしているのかということ。きっかけは森友学園問題が起きた際に、元財務省勤務という経歴によって番組からオファーを受けたことだという。ただテレビとは多くの人に自分をさらすリスクも伴う。多くは“出演して目立ちたい”人のための媒体なのに。

テレビは私の解釈だと、ものすごく狭い範囲で動いているものなんですよ。

たとえば『モーニングショー』(テレビ朝日系列)で言うと、羽鳥さんを中心に、アナウンサーにコメンテーター、指示出しをしてくれるスタッフと私が直接的に関わるのは合計5人くらいで、番組が成立しているような感覚です。

山口真由さん「勝手なことを書いたり、言っている人たちは私のことを一切ケアしていないんですよ。そんなことに一喜一憂していたら身が持ちません」(写真:本社 中島正晶)

前の夜に勉強してきた内容を復習しながら、時計を見て、与えられた時間以内に話しきることだけ考えてコメントをする。それだけ。それこそ学校の教室と似た仕組みなのが、超・内気な私に向いていたみたいです。

だからテレビの向こう側にいる人たちの反応までは考えていません。もし考えたら、何も言えなくなっちゃう。とにかくスタジオの中を、完結させようとしているだけです。

SNSなどのコメントも一切見ません。あれは……「占い」みたいなものだと思うので。

送られてくるコメントの中に、偶然にも自分にぴったり当てはまっているコメントを見つけてしまうと、残りの全部も当たっているのではと思い込んでしまい、必要以上に落ち込んだり、進む道を疑ったりしてしまう。

でも冷静になって考えれば、勝手なことを書いたり、言っている人たちは私のことを一切ケアしていないんですよ。そんなことに一喜一憂していたら身が持ちません。

だからエゴサーチもしません。しちゃダメです。エゴサは自らリストカットをしにいくようなもの。責任の伴わない発言で傷つくなんて、本当にもったいない。

ちなみに今、何かで落ち込んでいる人がいたら、次にチャンスがきたとき、躊躇なく「これだ!」と飛び込んでほしい。私にとってのそのチャンスとは、ワイドショーでコメンテーターをすることだったんだ、と今は思っています。