弱みを見せるのはいいことだなって

ーー日本人は常に後輩へかっこいい背中を見せるような“ロールモデル”が正解のように言われてきた。でも、これだけ生き方が多様化してきた時代に、それぞれの理想とロールモデルと合致することは、ごく稀だ。

以前、女性同士で旅行したときのことです。同行者にオックスフォード大学を飛び級で卒業をして結婚して、子どもがいるキャリアウーマンのAさんがいました。

『挫折からのキャリア論』(著:山口真由/日経BP)

すごいキャリアの彼女を、私はうらやましいと思っていましたが、心のどこかでは「一緒にいると気疲れするかも……」と感じてもいました。

でも旅行で気が緩んだのか、指導している部下から「Aさんのようには働きたくないと言われてものすごく傷ついた」なんて話をしてきたんです。

ただ、じっくり聞くと、そこには誤解のようなものを感じたので「私はAさんと同じことをできると思ってはいない。だから、Aさんだからクリアできるようなアドバイスを受けたいわけじゃない……。もしかすると、そういう意味なのでは?」と言うと、Aさんは納得したというか、とてもすっきりした表情をしていました。

意外でしたね。そこから自分の思っていることを吐露しはじめて、横のつながりも感じられましたし、ああ、弱みを見せるのはいいことだなって実感しました。

そして自分が欲していたのはこれだ!と。