どうしたらヤング・スーを安心させられるか
なぜか。それらを我がこととして体感できる機会が、ヤング・スーにはまだないからだ。結局は、もう少し生きるしかない。人生ゲームの攻略本は作れるかもしれないが、技の実践には経験が不可欠。要は、時間だ。いかにも中年っぽい答えにたどり着いてしまい、我ながらゲンナリする。
若い頃、自意識をこじらせていない人たちには自己への過信がなかった。私が選べなかった、ひとつの健やかな生き方だ。私はといえば、うぬぼれて調子に乗って、己の出来の悪さに打ちのめされてばかり。諦めなかったからこそ、今回はダメでも次はやれると自分を信じられるようになったのだが、ヤング・スーは馬耳東風だろう。
どうしたら、ヤング・スーを安心させられるか。みんなと同じ、もしくは優れている状態でなくとも楽しく生きられることには疑いがない現在、それを昔の自分に伝える術が見つからない。
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思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。疲れた心にじんわりしみこむエッセイ66篇。