リビングは、吉本さんの作業場でもある(撮影:下村亮人)
包んだり、掛けたりして使うポジャギは、朝鮮半島で生まれた布と布、色と色を繋ぐ手芸品だ。奈良・生駒に住む吉本潤さんは、韓国で学んだポジャギ制作を続けて20年になる。一針一針、根気よく。そこには作る、使う、人と繋がることを楽しむ姿があった(撮影:下村亮人)

前編よりつづく

時間が許す限りちくちくと

4年間、私は一所懸命ポジャギ制作に取り組み、帰国前に一度、帰国後に一度、韓国で展示会を開くことができました。

日本にはポジャギのファンが多いので、たびたびポジャギ展を開いては皆さんのお目にかけているのですが、透け感や色合いの美しさ、縫い目の細かさを褒めていただくたび、私の心は喜びで満たされます。「ホントにポジャギっていいなあ」と、ますます好きになるのです。

年齢とともに視力が変化すると、手芸を趣味にしている人はつらくなるそうですが、おかげさまで私は平気なの。読書用とは別の老眼鏡をかけ、いつもこのリビングに陣取って、時間が許す限りちくちくしています。

 

一針一針、思いを込めて