『相棒』シリーズで知られる俳優・水谷豊さんが、古希を迎えたことを機に半生を振り返った『水谷豊 自伝』を発売。そこで明かされたプライベートでの素顔や出演作品への思いが話題を呼んでいます。今まで多くを語らなかった水谷さんに、人生における転機から、刊行を決意した理由をお聞きしました。(構成◎篠藤ゆり 撮影◎大河内 禎)
『相棒』と歩んだ23年間
テレビ朝日系列のドラマ『相棒』の第1話が放送されたのは、2000年6月。最初は単発ものの2時間ドラマとしてスタートしました。それから23年。テレビではseason21まで続き、その間、劇場版も何作か作られ――まさかこんなに長く続くとは、想像もしていませんでした。第1話の撮影をしたのが47歳のとき。気がついたらここまで来ていた、という感じです。
最初から決めていたのは、「ダメになったからやめます」という終わり方は絶対にない、という点です。そんなことをしたら、今までの世界観が壊れてしまいますから。
しかし、不思議なドラマですねぇ。なぜ自分を、こうも長く惹きつけ続けるのか。何年続けても、「まだ新しい何かがあるんじゃないか」と思わせる。やはり社会は刻々と変化していきますから。今の世の中とともにありたい、という思いが湧いてくるんでしょうね。
23年間で変わったことといえば、杉下右京が紅茶を入れる際のポットとカップの距離(笑)。どこまで高くできるか記録に挑戦したいという、僕の本能がなせるワザです。たまに「ああいう淹れ方があるんですか?」と聞かれることもありますが、ないと思いますよ。