鉄道網が完成するまで

だが、1835年12月7日という日付は、重要である。この日、南ドイツ、バイエルン王国のニュルンベルクとフュルトの都市間に最初の本格的な鉄道が開通した。

『鉄道のドイツ史――帝国の形成からナチス時代、そして東西統一へ』(著:ばん澤 歩/中公新書)

小さからぬ官許私営企業として出資者を募った鉄道会社の成功は、当時の分裂した「ドイツ連邦」内各地に大きな刺激を与えた。これが(1)の時期である。

鉄道建設は、主要都市間の連絡として各々の地域で計画され、急ピッチで進むようになった。ここで(2)の時期に入ることになる。

「鉄道熱」と呼ばれる、なかば投機的な鉄道建設への投資ブームが1840年代には起こる。40年代だけで路線距離は10倍以上になった。

全長6000キロメートルを超える線路が出現した結果、1850年代中にはドイツ語圏全土を覆う鉄道網らしきものが、その骨格をあらわした。1851年にはドイツ連邦内で南北ドイツを代表する「王都」であったベルリンとミュンヘンが鉄道で結ばれている。

乗り換えをはさんでまる2日はかかったが、ドイツ語圏に当時存在した各領邦の国境や地域を超えたこのような連絡は、路線伸長とともに進んでいく。