鉄道ブームと同時進行で起きたこと

鉄道ブームの時期には、鉄道業の内部でもその後の発展の礎となる変化が、確実に生じていた。

1つは、技術や資材の「輸入代替=国産化」のはじまりである。これはドイツ経済の工業化と正確に運動していた。

大規模な鉄道路線建設では英国やベルギーからの資材輸入がおこなわれ、鉄道というシステムを動かすのもこれら鉄道先進地域・国家から招請された人びとだった。

鉄道関連技術の導入は必須であったが、ドイツ語圏では対応はかなり速やかだったといってよい。1838年にはザクセン王国ドレスデンのウビガウ社が国産第一号機関車「サクソニア号」をつくっている。機関車については40年代中に半数は国産に切り替えられ、50年代に輸入代替が完了する。

一方、レール製造を担う製鉄業でもほぼ同様の事態が生じたが、その変化は単線的・直線的ではなく、企業家のインセンティブの働きを反映して、かなり複雑なものであった。