歌って、踊って、芝居をしてという生活を長年コンスタントに続けてきて――それがいきなりなくなってしまったことが、私自身もすごく寂しかったので。幸い、まだまだ元気に動ける年齢ですしね(笑)。

男役以外を演じるのは自分にとってかなり難しいことかもしれませんが、それだけ演じられる幅が広がっていく可能性もあると前向きに考えて、この世界で再び挑戦しようと決めました。

 

『おちょやん』での経験

これからどんな役をやりたいかという個人的な希望はまったくなく、とにかくいろんな役と出会っていきたい。宝塚時代の経験が活かせそうな、颯爽とした医師や弁護士などもやってみたいですし、反対に、これまでとはまったくイメージの違う人間も演じてみたい。毎回毎回、観ている方に違った印象を与えられる役者になれたらいいですね。

退団後、初めてレギュラー出演したドラマ『おちょやん』で演じた高峰ルリ子も、私にとってはとても大きなチャレンジでした。カメラを見つめて見得を切る演技は監督の指示だったのですが、「宝塚出身の人って、やっぱりポーズを決めるのね」って、テレビを観ているみなさんに思われたらどうしよう? と、ドキドキしちゃって。

それでも、見得を切るのは自分の得意技だし、私のためにせっかく監督が考えてくださった演出ですから、堂々とやろうと。あのような場をひとついただいたことが、どんな役でも思い切ってやっていいのだというジャンプ台を得たようで、本当に感謝しています。