「言葉」とは本当に怖いもの

23年シーズンの開幕前に、NPB(日本プロフェッショナル野球組織)と12球団、日本プロ野球選手会は連名で、SNSなどに選手やその家族、審判員など関係者を誹謗(ひぼう)中傷する投稿をやめるよう、注意喚起するメッセージを発表しました。

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プロ野球ファンのみなさまへ ~SNS等への投稿についてのお願い~

いつもたくさんのご声援をいただき、ありがとうございます。ファンのみなさまからのご声援は、日本のプロ野球を魅力あるものとし、さらに発展させていくために、なくてはならないものです。今シーズンも、プロ野球を盛り上げるため一層のご声援をお願いいたします。

併せて、今シーズンを迎えるにあたって、みなさまにお願いしたいことがあります。昨シーズンはSNS等において、懸命にプレーする選手に対する誹謗中傷、侮辱や脅迫等の心ない行為が相次ぎました。選手の家族や監督、コーチ、球団スタッフ、審判員を含む関係者への誹謗中傷等も発生し、今春のキャンプイン後もその兆候は続いています。これらの誹謗中傷等を受けた人たちは、大きな不安と恐怖、そして深い悲しみを抱え、試合や私生活に支障が生じてしまう例も出ています。

日本プロフェッショナル野球組織(NPB)、12球団及び選手会は、ファンのみなさまとも手を携え、球界が一丸となって選手と選手の家族を守り、プロ野球をさらに魅力あるものに発展させていきたいと考えており、このように選手、選手の家族、監督、コーチ、球団スタッフ、審判員を含む関係者の尊厳を傷つけ、プロ野球の魅力を損なう悪質な言動を決して看過することはできません。

もちろん誹謗中傷等に対しては、発信者情報開示請求等の法的措置を講じ、専門家や警察などの関係機関と連携するなどして、これまで以上に断固とした対応をとってまいります。

ファンのみなさまには、誹謗中傷等を拡散しないこと、SNS等での投稿にあたってマナーを守っていただくことを改めてお願いするとともに、何より選手の力になる前向きなご声援をたくさん送っていただけることを心より願っています。

今シーズンもまもなく開幕いたします。どうかよりいっそうご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。

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こうしたメッセージを発信することには賛否あるかもしれませんが、僕はいいと思います。世の中にはSNSでの誹謗中傷に心を痛め、亡くなった方もいるのですから。

プロ野球界でも選手のみならず、家族や周囲の人たちを傷つける投稿は少なくありません。グラウンドでプレーしている自分たちはある程度、仕方ないと受け止められますが、大切な人たちが傷つくのはつらいものです。

新聞の見出しにも傷つけられることはありました。子どもが学校で何か言われるんじゃないか。そんな心配をしたことも、一度や二度ではありません。

「お前のお父さん、×××××」

子どもたちは悪気なく口にします。幸い、うちの子は嫌な思いをすることはなかったようですが、「言葉」とは本当に怖いもの。

みなさん、どうか選手を誹謗中傷するような投稿はやめてください。気持ちは分からなくもありませんが、選手は一生懸命やっていますし、支えてくれている家族もいます。

僕の場合、なんとか一軍で結果を出せるようになったからよかったけれど、もし期待に応えられないままだったら、あの手紙のことをずっと引きずっていたかもしれません。

※本稿は、『#みんな大好き能見さんの美学(ポーカーフェイスの内側すべて明かします)』(ベースボール・マガジン社)の一部を再編集したものです。


#みんな大好き能見さんの美学(ポーカーフェイスの内側すべて明かします)』(著:能見篤史/ベースボール・マガジン社)

阪神タイガース、オリックス・バファローズで選手、コーチとして18年。「みんな大好き能見さん」の野球人生を、能見さん本人が初めて記します。愛がいっぱい、毒も忘れない言葉から、成長のヒント、伝え方のアイディアを見つけられる一冊。