陸上長距離の難しさ
厳しい練習をやればいいというわけでないところに陸上長距離の難しさがある。
練習とは、余裕を持ってこなし、それを継続しながら少しずつレベルを上げていくものなのだ。それでこそ能力を高められるし、自信もつく。
練習のなかではレースを想定して考えながら走ることも必要だし、自分の体の状態や変化に気づく感覚も磨かなければならない。
しかし、練習をこなすことで精いっぱいになると、そこまでの余裕は生まれない。ただがむしゃらに走るだけになってしまう。
その結果、緊張感のある駅伝の本番で、周りを見て、冷静に自分の体の状態や周囲の状況を見ながら走れなくなるのだ。
キツくなったときの立て直し方や、ペースの組み立て方を知らなければ、とうてい好結果は望めない。
結果として、エースたちは力を伸ばしたものの、駅伝で彼らを支えるべき選手たちが崩れてしまったのだ。
※本稿は、『必ずできる、もっとできる。』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『必ずできる、もっとできる。』(著:大八木弘明/青春出版社)
「もはや今までのやり方は通用しない」。時代の流れを感じ、新たな指導方法を模索していた大八木監督は、選手との接し方を変え、再び強いチームをつくった。厳しい指導が代名詞ともなっていた監督は、令和の時代になり、何をどのように変えたのか。伸び悩む組織を運営する管理職やリーダーに向けて、その指導方法を紹介する。