お揃いの服を着て(写真提供:水村さん)

母の承諾なしには恋愛ひとつできない

――渡米後は、ロングアイランドで家族4人で暮らしていましたが、まず姉がボストンの音楽学校に通うために18歳で家を離れました。その2年後に私が美術学校に入学し、同じくボストンへ。アパートを借りて2人暮らしを始めたとき、初めて姉がとんでもない人だということに気づきました。

家事は何もせず、生活の細々したことはすべて私任せ。自分はピアノを浚って、お化粧にさんざん時間をかけてデートして、それだけ。この人は誰かの手を煩わせないと生きていけない人なんだ、と思い知らされることになった。

また、姉の恋愛問題がいろいろと持ち上がるのですが、母はそれにいちいち介入してきました。介入させない強さは姉にはなく、それどころか、ボーイフレンドができると母に引き合わせるんです。母の承諾なしに姉は恋愛ひとつできなかった。

一方私は、ボストンへ行ってすぐに、日本から来た留学生の岩井くん(夫君で経済学者の岩井克人さん)に出会い、いつのまにか結婚することになりました。

私は、母の情熱に引きずられるままに人生を歩む姉に違和感を覚えていて、もうその頃から、どこかで姉をちょっと馬鹿にさえしていたかもしれない。姉と違って自分の人生を選んだと自負する気持ちも少しあって、姉はたぶんそれを感じ取っていたのではないかと思います。