ロマンス詐欺被害者の証言
マッチングアプリでは、ロマンス詐欺の男と出会ったアラフィフで東京都下に住む女性とも出会った。
ロマンス詐欺男は自称57歳の自営業。昭和の俳優のような雰囲気だったという。そして、初対面のカフェで猛烈に口説いてきた。
「僕のパートナーはあなたしか考えられない。ともに人生を歩きたい。一緒にアプリをやめましょう」
そう言われて、彼女はすっかりその気になった。
二度目にランチをしたときは、パールのネックレスをプレゼントされた。
三度目のディナーでプロポーズを期待した彼女は、プレゼントされたネックレスをして出かけた。
しかし、彼は妙なことを頼んできた。
「今日仕事関係の相手に50万円を振り込まなくちゃいけないのに、財布を忘れてしまった。50万円貸してもらえないだろうか」
しかし、キャッシュで50万円など持ち歩いていない。
すると、彼はさらに頼んできた。
「ATMで降ろしてくれないかな」
50万円は、ATMで一日に引き出せる限度額だ。おかしいと思った彼女は、借金の無心は断った。しかし、彼はねばった。
「君と僕はもうともに人生を歩くんだから、いいだろ」
さらに断ると、彼は激怒したという。
「君はなんて冷たい女なんだ!」
捨て台詞を吐き、彼女の首からネックレスをむしり取り、去っていった。彼女は恐怖で震えながらテーブルに残された。ディナーコースと高価なワインの代金は彼女が支払った。
翌日警察に相談したが、起訴は難しいということだった。
ほんとうにお金を取られていないのか。男女関係にはなかったのか。彼女は教えてくれなかった。
※本稿は、『婚活中毒』(星海社)の一部を再編集したものです。
『婚活中毒』(著:石神賢介/星海社)
イケメンとはほど遠い容姿、身長は166センチ、バツイチ、58歳、それでも婚活で出会った女性は300人以上。楽しい婚活ライフを送る著者にやがて訪れる永久婚活状態とソロ人生を歩む覚悟とは? アプリ、相談所、パーティー、バスツアー……。いとも簡単にマッチングできる現代の婚活を実体験から描く。すべての成婚したい人必読の書。