日本人女性の平均寿命は長い

アタシたちの業界には定年というものがない。役者であれば年を重ねれば重ねるほど、味わいのあるお芝居ができるでしょう。

歌手も声が出る限りは歌い続けて、若いころには表現できなかった「人生の深み」のようなものを歌うことができるようになる。

だから健康でいるあいだは常に現役なんです。

でも例えば会社員の方々の場合、会社を定年退職したらいったん終わり、なんて思われたりするみたいですね。いきなり現役感がなくなるんですよ。隠居して孫と遊ぶことが楽しみだ、みたいになっちゃう。

別にそれが悪いとは言っていませんよ。でもね~、なんかもったいないじゃありませんか。仮に65歳で退職して80歳まで生きたとしても残り15年、いろんなことができますよ。

例えば15歳の少年が15年すれば30歳になるわけでしょう。そのあいだにどれだけ多くの楽しい経験をすることになるんでしょうか……そう思うとワクワクしませんか?

「それは若かったからなんでもできただけの話。65歳からの15 年とは違うよ」なんていうのが何かを始めようとしない人の言い訳。常に後ろ向き……そういうのはダメですよ。

ちなみにアタシが舞台で大腿骨を折ったのは64歳のとき。舞台に立ちたい一心でリハビリを頑張った。そのおかげで今でも舞台に立てるし、スキューバダイビングもできる。

あそこで後ろ向きになっていたらと思うと空恐ろしくなりますよ。

※本稿は、『70歳、すっぴん人生』(Gakken)の一部を再編集したものです。


70歳、すっぴん人生』(著:研ナオコ/Gakken)

古き良き昭和の時代を駆け抜けた歌手、タレントの中でも屈指の存在感を誇り、近年においてはYouTubeでも20万人以上のフォロワーに注目されている研ナオコ。2023年に満70歳を迎える彼女が提案する、これからの人生を楽しむコツが満載の一冊です。