「節約した結果の栄養失調」なんて事態を避けるために

先日、一人暮らしをしている70代の男性の知人が自宅でいきなりふらつき、そのまま倒れました。猛暑続きだし、熱中症なのでは、と思いきや、病院で「栄養失調」「低栄養」との診断が出て驚いた、と言っていました。

「低栄養」「栄養失調」という言葉は戦後の生まれの彼にとっては、かなり距離のある言葉だったそう。食事はちゃんと摂ってきたどころか、肥満気味の自分と関係ないものと思っていた、とのことでした。

しかし奥さんに先立たれたことで、しっかりした食事はたまに居酒屋で、という食生活のサイクルに辿った結果、招いてしまった事態だったようです。

これまでの日本では食材廃棄や肥満など、「飽食化」による食生活の弊害をよく耳にしてきました。

しかし、多くの人が節約を余儀なくされるような厳しい状況のなか、低栄養、栄養失調という、考えていなかったような事態も起こり始めています。

厚生労働省によれば、摂取カロリーが足りているにもかかわらず、カルシウムなどの不可欠な栄養素が不足してしまい、栄養が偏る状態のことを「新型栄養失調」と呼び、高齢者で特に増えているそうです。

実際、自らが高齢者となった今「ただでさえ食が細くなる高齢者が節約を意識した結果、食べているつもりで低栄養」というケースがこれから増えるように感じています。

あくまで私の経験上、お金をかけなくても、豊かな栄養と美味しい食事を食卓に並べることは可能です。

もし食での節約をするのであれば、まずは私もかつて持っていたような偏見や思い込みを捨て、安くても栄養豊富な食材を探す・使うところから始めることをお勧めしたいと思います。


72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』(著:紫苑/マガジンハウス)

年金月5万で暮らす紫苑さんが節約する上で学んだ「自分を本当に幸せにしてくれるお金の知恵、工夫、考え方」を40の言葉とともにお伝えします。

シングルマザー×フリーランスという不安の掛け算の中、お金に振り回されて生きてきた人生が「最高の今」に変わった理由とは? 豪奢でも清貧でもない。わたしとお金の付き合い方。