【トラブルの種3】介護や看取りの方針で意見が合わない

きょうだい間で意見の食い違いが起きやすいのは、施設入居を検討するタイミング、そして終末期に延命治療を受けるかどうか選択を迫られたときです。

在宅介護の場合、介護者が限界だと感じても、きょうだいが「なぜ家にいさせてあげないのか」と反対することがあります。また、男性の介護者に多いのが、愛情ゆえに親を自分の所有物のようにして、「他人の世話にはならない」と抱え込んでしまうケースです。

終末期には、親の死を受け入れられず取り乱し、「延命治療はしない」と決めていたにもかかわらず、土壇場で猛反対してもめてしまう例もよく見ます。

どちらも大切な選択の時期に余計なトラブルで疲弊することになりますし、親が亡くなった後の後悔につながります。今後のきょうだい関係にも深刻な影響を与えかねません。

何より問題なのは、当事者である親の希望が叶えられないこと。そもそもきょうだいがもめるのは、「子どもに迷惑をかけない」と言いつつ何も準備していない親側にも問題があると思うのです。そのため、介護が始まるときの話し合いには親本人も交え、意思を確かめておきましょう。

「どういう介護を受けたいか」「どこで最期を迎えたいか」をはっきり示してくれれば、後々きょうだいの誰かが理不尽なことを言い出しても、「お母さんが決めたんだから」ときっぱり退けることができます。

もしも家族だけでは冷静に話ができない、意見がまとまらないという場合には、専門家を交えるのも一つの方法です。在宅介護を受けているならケアマネジャー、財産にまつわることは税理士、法律もからむ問題ならば弁護士に加わってもらってもいいでしょう。

一度はきょうだい同士、本音でぶつかり合うことも必要かもしれません。すると長年のわだかまりに気づいたり、相手の立場を思いやる気持ちが生まれたりもする。それが親との間に残された大切な時間を、できるだけ幸福に過ごすための支えになってくれるはずです。

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