「私が生きていると子どもたちの負担になるのでは……と思いつめてしまって」(撮影:川上尚見)
ずっと仕事を続けてきて、お金に無頓着だったという小山明子さん。コロナ禍で思わぬ窮地に立たされ、生活を見直したところ、新たな幸せを見つけて――(構成=村瀬素子 撮影=川上尚見)

通帳の残高にびっくり、不安で夜も眠れず……

もともと楽天的な私が、お金の不安からうつ病を発症したのは、おととし2021年のこと。コロナ禍で講演などのお仕事が中止になり、しばらく収入が途絶えてしまったのです。

信頼する友人に個人事務所の経理をお任せしていたのですが、ある日、「小山さん、通帳にはもうこれだけですよ」と預金残高を見せられて、びっくり。

私の生活費のほか、家の光熱費や維持費など毎月出ていくお金を考えると、いずれ預金は底をつき家計は破綻する。私が生きていると子どもたちの負担になるのでは……と思いつめてしまって。

何もする気が起こらず悶々とし、不安で夜も眠れなくなりました。私の異変に息子たちが気づき、病院へ。うつ病と診断され薬を処方されたのです。

もっと早く経済的な危機に気づけばよかったのですが、私ものんきなところがあって。コロナ前までは途切れなくお仕事をしていて、それなりの貯えもありましたから、てっきり大丈夫と思い込んでいたのです。