「幸いだったのは、いちばん身近な存在が手をさしのべてくれたこと。家族のありがたみに気づくことができ、本当によかったと思います」

だから、素敵なものを見つけるとすぐカードで買って、無駄遣いもしていました。人前に出る仕事ですから、着るものや美容には気を使いたい。

ただ、自分のためだけに使っていたわけではないんですよ。長年の習慣で人にごちそうするのも好きでした。また、東日本大震災で被災した子どもたちを支援するボランティア活動も続けていました。

私が死んだあと迷惑をかけないよう生命保険も5つ入っていて……。でも、自分の老後のお金のことを考えていなかったのです。

 

救ってくれたのは、身近な存在だった

それまでの私は、子どもを頼らず、何でも自分でやってきました。息子たちにはそれぞれ家庭がありますから、距離を置いて付き合っていたの。お誕生日などのイベントでは集まるけれど、口を出さず、深く関わらないというスタンス。彼らも、働いている母親の家計のことは心配していなかったのでしょう。

ところが、うつ病になった私を見て、息子たちは「お母さんを助けなきゃ」と。車で10分ほどのところに住む長男の武(たけし)、都内に住む次男の新(あらた)と、彼らのお嫁さんが4人で家族会議を開いて対策を練ってくれたのです。

危機に陥った母を放ってはおけないと、「お母さんのお金の管理を任せてほしい」と言われました。それで「じゃあお願いするわ」と通帳などを預けたんです。