見ざる・言わざる・聞かざる

心の安定を保つために、自分がいやだなと思うものは見ない、心が乱される人とは距離を置く、心身の疲労を防ぐためにエネルギー配分を考えるなど、自己管理術を重視するようになりました。

生真面目な人ほど、人の期待に応えようとして、つい無理をしてしまうものですが、自分が重荷となっている物事や人間関係、こだわっている「ねばならぬ」という“マストの考え方”を手放すと、心が軽くなります。

私自身、少しずつ自分をがんじがらめにしてきた縛りから解き放つ努力をしてきた結果、以前より生きやすくなったと感じています。

余談ですが、私は「見ざる・言わざる・聞かざる」という言葉に得心することがあります。それは「人がうまく生きていくための自己保身術」と解釈されることもありますが、ある意味、心おだやかに暮らすためのヒントとなる言葉です。

見なくてよいものは見なくていい。言わなくてもよいこと、聞かなくてよいことをスルーしていくと、俗世間のわずらわしい喧騒も他人事。楽に生きるコツを教えてくれるようです。

そう考えると、年を取って目が見えにくくなり、耳が遠くなって言葉もスムーズに出なくなるのは、晩年は周りの余計な雑音に翻弄されず、憂いなく過ごせるようにと、神様が人間に与えた配慮なのかもしれません。

※本稿は、『IKKO 人生十転び八起き。ケ・セラ・セラ』(清流出版)の一部を再編集したものです。

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IKKO 人生十転び八起き。ケ・セラ・セラ』(著:IKKO/清流出版)

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