デフロスト機能で、庫内の温度が上昇する
このように常備しておくと便利な冷凍食品ですが、家庭用の冷凍庫で保存する場合、買ってから1ヵ月以内に食べきるようにしましょう。
冷凍庫に入れておけば長期保存ができると思われがちですが、実は落とし穴があります。冷凍庫内には霜がつかないよう、1日数回、定期的に庫内の温度を上げる「デフロスト(霜取り)」という機能がついていて、庫内の温度が上昇してしまうのです。
さらに、冷凍庫を開け閉めする時にも庫内の温度は上がります。マイナス18℃以下に保ってこそ美味しく食べられる冷凍食品が、このようなたび重なる温度上昇にさらされると、食品中の水分が蒸発して乾燥が進み、表面に霜が付着。脂質の酸化や、たんぱく質の変性なども起きるため、味が落ちてしまうのです。「冷凍焼け」という言葉を耳にしたことはありませんか? これは、食品の乾燥や変性によって変色した状態を指します。
加えて、やってはいけないのが、解凍した冷凍食品を「再冷凍」すること。これも品質的、衛生的によくありません。一度解凍すると、食材の組織が壊れ、中の水分が流出して劣化するうえ、解凍中に細菌が増殖する危険性があります。購入した冷凍食品を無駄にしないためにも、食べきれる量だけ解凍する習慣をつけましょう。
冷凍食品は、スーパーで買ってから帰宅する間にも温度上昇にさらされています。ですから、1つで買うより、できるだけまとめ買いをするのがベスト。冷凍食品を重ねて、温度上昇をできるだけ抑えるのです。その際は、必ず保冷バッグを使いましょう。
僕がみなさんにおすすめしているのは、ネット通販や、食材の宅配サービスです。重い荷物を持たなくても、冷凍便で玄関まで届くのですから、メリットが大きい。
こうして日々の食生活に冷凍食品を取り入れることは、「手抜き」なのではなく、「手間抜き」です。料理の効率化や、栄養バランスを考えた食事のためにも賢く取り入れてほしいと願っています。