(イラスト提供:illust AC 料理写真提供:久保奈穂実)
栄養価がもっとも高まる旬の食材を使って、缶詰は作られています。「食べ物の効能で不調を改善する」という中医学の観点から、缶詰を料理に取り入れるコツをご紹介します(構成◎上田恵子 イラスト◎斉藤ヨーコ 料理写真提供◎久保奈穂実)

食生活の偏りが心身の不調を引き起こす

漢方アドバイザーとして私が、日々、患者さんの相談を受け実感しているのは、食べ物は私たちが思っている以上に体に影響を与えるということ。たとえば冷え性の人は生ものばかり食べていたり、肌の乾燥に悩んでいる人は辛いものを食べすぎていたり、といった具合です。このような偏った食生活は、「気分が落ち込む」「イライラする」といった気持ちの面での不調を引き起こすことも。

下のチェックリストにあるような、病気ではないけれど心身に不調を感じている状態を「未病」と言います。この段階であれば、日々の食事を見直すことで改善は可能です。

とはいえ、バランスのよい食事を考えるのは大変ですよね。「家族が少ないから、食材が余って不経済」「頻繁に買い物に出るのが面倒」ということもあるでしょう。年齢とともに量が食べられなくなった、という方もいらっしゃるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、スーパーなどで手軽に買える缶詰を料理に取り入れることです。缶詰は、栄養価がもっとも高く、安価で手に入る旬の食材を使って作られています。しかも、食材を缶に入れ、空気や水、細菌が入らない真空状態で高温・高圧調理しているため、栄養成分がほぼ損なわれていません。

なかでも魚類は骨までやわらかくなっていて、丸ごと食べられるのも魅力です。可食部が多くなることで、摂取できる栄養価もぐんとアップ。たとえばさば缶は、生の切り身と比較すると、カルシウムは43倍、血をサラサラにすることで知られる必須脂肪酸のDHAとEPAは1.3倍も含まれているという調査結果も出ているんですよ。

ほかにも、殺菌料も保存料も不使用、常温で長期保存が可能、加熱済みなので調理の時短になるなど、缶詰には多くのメリットがあります。