デザインを手がけた京友禅の着物をまとって。蝶をモチーフにした一着

彼からの宿題を完成させたい

実は今、昭和歌謡のカバーアルバムをレコーディング中です。青山の映画でずっと音楽を担当していた山田さんが制作に携わってくださり、また奇跡のように、一流のミュージシャンたちが演奏に参加してくれることになりました。

夫の行きつけだった下北沢のジャズバー「レディジェーン」を歌ったオリジナル曲も作りました。そのバーは、松田優作さんや原田芳雄さんなどが常連で、映画について熱く語り合う場でした。そんな思い出を詰め込んだ詞を書いたのですが、なんと、ある素敵な俳優さんがボーカルで参加してくださることに。

青山の歌声を録音したものが残っていたので、それに私の歌を重ねたデュエット曲もあります。そうこうしているうちに、私が詞を書いて、青山が歌っている曲がパソコンから発掘されました。なんだか彼も、アルバム作りに参加してくれているような感じです。

そうやって彼が残してくれた思い出や人とのご縁を形にすることで、今も一緒にいるような気持ちになるし、前向きに次の人生を踏み出せる。生きている時も、そして今も、いつも私の背中を押してくれているなぁと、彼の力を感じています。

それから、青山が脚本を書き上げ、すでにスタッフも決まっていた作品があるので、それをなんとか映画化したいんです。私もキャスティングプロデューサーとして参加しています。何人かの役者さんに関しては、いわゆる「あてがき」もしているので、目下、出演依頼を進めているところです。

後は、青山が残した未発表の小説があるのでそれを形にしたいですね。

【関連記事】
とよた真帆「夫・青山真治との早すぎる別れ。漠然とした予感はあったが、相手を変えることはできなかった」
榊原郁恵 彼がくれた最後の優しさ。「コロナ禍でもあるし、大事をとって別の部屋で寝よう」家で過ごした最後の日に寝室を別にしたのが心残りで…
五木寛之「直木賞を受けるか、ひっそりと金沢で生きるか。迷っていた時、浅川マキは西瓜をさげて縁側に現れた」