美しい写真を飾ることができた

十二月には最後の東京詣でもしていて(母は秋田に住んでいた)、

「いま、入院ダイエットで瘦せてるから、勝行さんに写真撮ってもらいたいのよ。佐藤さん(母の連れ合い)も一緒に」

とオーダー。

『親を見送る喪のしごと』(著:横森理香/CCCメディアハウス)

夫はカメラマンなので、撮影・修正はお手の物だ。母は食いしん坊で晩年コロコロに太っていたが、膵臓がんで七キロ瘦せた。膵臓を悪くすると糖分代謝ができなくなるから、甘いものが食べられなくなるという。

確かに、ちょうどよく瘦せて、きれいだった。

母は一番いい着物を着て、私が濃いめのメイクをし、私の事務所にて、記念撮影をした。

本人も、遺影の撮影というつもりだったのだろう。おかげで葬儀の際には、美しい写真を飾ることができた。母も本望だ。ええかっこしいだったから(笑)。