ジュエリーはリメイクで愉しむ
新しいものはともかく、古い宝飾品はもらっても現代のライフスタイルに合わない。
私は母の縦爪のダイヤモンドリング(婚約指輪)大粒ひとつを中心に、自分のプチダイヤ二個を両脇に置き、カジュアルリングにリメイクした。縦爪はニットにもひっかかるから、プラチナリングに埋め込む形にしたのだ。
こういうリメイク屋さんは街のいたるところにある。私は自由が丘デパートのリメイク屋さんでやってもらった。お直し代はたいしたことなかった。地金も買い取ってくれるから、それで支払えたぐらいの金額だ。
遺品といっても、ただ取っておいてもしょうがないから、リメイクして普段使いで楽しんだほうがいい。そのほうが故人も喜ぶだろう。
思い出としてとってあるのは、父との結婚指輪と、琥珀のカフスボタン、琥珀の帯留めと、珊瑚の羽織留め、そして特大水晶の指輪である。山梨は水晶の産地だから、おばさま方は持っているのである。
母は着物を着るときに着けていたような気がするが、さすがにオバ趣味なのでリメイクしようとしたら、リメイク屋さんのおじさんに、
「これはとっといてあげなよ」
と窘(たしな)められた。結局、ジュエリーボックスの肥やしと化している。
※本稿は、『親を見送る喪のしごと』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
『親を見送る喪のしごと』(著:横森理香/CCCメディアハウス)
親を見送る世代の「大人女子」は、自分自身も気力体力が衰えはじめ、病気になる人も。親の死はただでさえ参ってしまうものなのに、そこへ畳みかけるようにくる様々な手続きはあまりにも膨大で、期限付きのものも多く、めくるめく試練のようなもの。いよいよに備える時期から、葬儀、相続含む様々な手続き、法事、遺品整理、実家の整理、墓問題まで著者の体験のほか、経験者、専門家にもお話をうかがい、大人女子が体験してきた「喪のしごと」についてまとめました。各所には「豆知識」も入れ、実務的な面もサポート。読み物としても、実用的な面としても、知っておいてほしい1冊です。