東京23区の土地代でアメリカ全土が買える

1987年2月、NTTが上場し、一般に株が売り出されました。かつての電電公社が民営化され、NTTとなった後も政府が株を保有していましたが、これを売却して政府の収入にしようとしたのです。

政府の売り出し価格は1株119万円でしたが、2カ月後には318万円にまで上昇。「株は儲かる」という印象が広まり、それまで興味を持たなかった国民も株式投資を始めました。株価は需要と供給で決まります。株を買う人が増えたことで株価はみるみる上昇。それを見てさらに多くの人が買うという循環が始まりました。

土地ブームに火をつけたのが1985年5月、当時の国土庁が発表した「首都改造計画」です(写真:本社写真部)

株高によって、企業は株を発行することで容易に大量の資金を手にできるようになりました。その資金で土地を購入。その土地を担保に資金を借りて投資に回すという流れができ、土地も株価も急上昇しました。日経平均株価は1989年12月のピークには3万8915円という高値をつけました。1990年には「東京23区の土地代でアメリカ全土が買える」と言われました。

あり余った資金は海外にも向かいました。日本企業はハワイなどのリゾート地やゴルフ場を次々に購入。1989年にはソニーがアメリカのコロンビア映画を買収しました。三菱地所はニューヨークのロックフェラーセンターを買収しました。