「やる気」と「モチベーション」
そしてもう一つ必要なのは、「やる気」と「モチベーション」。親というのは、これを与えることも奪うこともできる存在なのかもしれない。
翔大の目の色がカッと変わりだして、わりと早くに「おれは野球をやっていく!」と必死に頑張り始めた。なので親としては、これから野球を思う存分やるのに必要なことを足し引きして考えればいいだけだと我が家は考えている。
何もかも平均点以上にできるように…と考えることは少なくなった。
最初思い描いていた「余裕」とは程遠いことを悟り、結局2人とも私学を出て近くの公立中学へ移った。
翔大は野球のための高校を選んだのだが…勉強はいつもスレっスレのところを低空飛行でやっている。
一人暮らしをするようになってからは、自由ななかにも最低限の成績を残さないと部活に参加できないきまりだったので、一人で困りながら翔大なりに頑張ったのだと思う。
瑛介も今、ある目標をもって「野球のためなら」頑張れる、とテストの準備をせっせと進めている。一夜漬け上等!戦う姿勢は大事だよ。彼は性格的にマイペースな学習の進め方が良いような気がして、大学生の従兄に勉強を見てもらっている。大好きな従兄なので呆れられないように頑張っているのだ。
成績が足りなければ自分の理想に届かなくなることを、そろそろ思い知るかもしれない。厳しいね。今は野球も勉強も、どちらか一方を諦めてはいけない時代なのだから。
でも私が先ほどの「文武両道」を額縁に入れて掲げようとした時、ふと思うのだ。
「わたしの時は、どうだったっけ?」