河川敷のグラウンドはいつも霞んでいる。外野が広すぎて打球の行方は果てしなく…(写真提供◎大神さん 以下同)
大神いずみさんは、読売巨人軍のコーチ、元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。苦しいダイエットをしている最中に、長男が大阪の高校で野球をやるため受験、送り出すという決断をしている。夢と希望にあふれてスタートした高校生活はコロナや怪我で波乱万丈。そしてこの夏で引退を迎えた。球児の母として伴走する大神さんが、この2年を振り返る。

前回「大神いずみ 夏の甲子園を終え、長男が家に戻ってきた。母は初のアルプススタンド、歓声と熱気に包まれ、気づいたら試合は終わっていた」はこちら

夏休み明けのテスト

この、眩しい太陽に温められ過ぎた熱風が、グラウンドの土を含んで吹き荒ぶ多摩川の川原。
容赦なく粉を叩くように母たちのお肌も覆っていく。じっとしていても、野球してなくても、1日の終わりは体じゅう泥だらけである。

ノンフライヤーで揚げられる唐揚げってこんな感じだろうか…。
バカバカしいが私はこの夏何度もそう思った。

この先の予報では、まだまだ猛暑日がチラホラな1週間。この週末もゆらゆら陽炎の奥にグラウンドを見つめることになるんだろうか。

もしもし、トントン、もう9月ですよね??

私の大好きな秋が訪れる気配がちぃとも感じられない中、カレンダー通りに学校は始まり、夏休み明けすぐにはビックリ意表をついたような期末試験が待ち受けている。

いや、言うていたではないか。
夏休み明けすぐにテストがあるんだぞ、て。
休み中から準備を始めてないと困ることになるぞ、て。

うちの息子たちは小学校の時から定期テストがあったので、もう何度も何度もそんなことを経験してきたはずなのに…まったく学ばない。

「だって、夏休みの宿題があるから勉強なんてできるはずがない。野球も毎日あって、そんな余裕なかったもん。あ、そういえば大阪にも行ったし忙しかったから…」

…そこをやるんだよ!

毎年毎年、こんな定型問答が飽きもせず繰り返されていくのはどうしてなのか。
テストの結果を見て遠い目で「こんな成績なら、野球か、勉強か、どっちかを選ばないといけなくなるよ」と私に言われ、泣きながら「次は本当に頑張ります…」と改心した、あの確かな気持ちはいったいどこへ行ったのだ!?