「程度によりますけど、今のヘアスタイリング剤はそんなにダメージを与える成分は入っていないので、洗わず、そのまま寝ても大丈夫ですよ。どうしても気になるなら、お湯や水で流すだけにしておくとか」
さらに百瀬はこう続ける。
「広い言い方ですけど国外だと、日本人みたいに毎日シャンプーをする人が少ないらしいです。美容室で洗う習慣がある国もあると聞きました。だからですかね。外国人のお客様の髪の毛を触ると『毛がしっかりしているな〜』と思いますよ」
言われてみれば、昭和生まれの私が小学生だった当時。毎日髪の毛を洗う習慣はなく、確か2日に1回程度だったと思う。たったの30年間くらいのうちに、日本はいつの間にか清潔大国になってしまったのだろうか。
で、百瀬談へ戻ろう。彼女とはものすごく付き合いが長かったはずなのに、なんでまたこんなナイスな情報を教えてくれなかったのだろうか。まあ、いい。この日まで髪の毛の健康や、清潔感を保つためだと信じて毎日洗っていた自分はなんだったのだろう。この日を境にして洗うペースは格段に減った。