自分の価値観に合わせて選択する

このように、発熱という状態をひとつとっても、自分と親という対象や、年齢や状況によっても答えが変わってきます。ですから医療的な正解がひとつでなくなった時は、それぞれの価値観に合わせて選択したものが、それぞれにとっての正解になります。

この「自分の価値観に合わせて選択する」ということこそ、幸せな最期を考える上で大切なことです。それが、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないことにつながります。

時折、患者さんや家族が「私たちでは決められないので、先生が決めてください」とおっしゃることがあります。しかし私たち医療者は、患者さんや家族が何か迷った時に選択肢を提示して一緒に考えることはできても、意思そのものを決定することはできません。

どこでどう過ごすか、何をどこまでやるかという判断は、本人や家族が自分たちの価値観と照らし合わせ、「自分たちがどうしたいか」という視点で決めることなのです。

例えば、あなたがもし「余命3ヵ月」と言われたら、どうでしょうか?

この「自分の価値観に合わせて選択する」ということこそ、幸せな最期を考える上で大切なことです(写真提供:Photo AC)

考えたくないことかもしれませんが、この問いを考えることで、自分にとって何が大事なのかが自ずと見えてくるはずです。

自分がこれからどう生きたいか、大切な人とどう関わっていきたいか、老後はどう過ごしたいかと、広く自分の今後について考えてみていただきたいと思います。