こんな時、あなたならどれを選択しますか

さてあなたに質問です。

あなたのお父さんが90歳だとして、2日前から痰(たん)と咳(せき)の症状が出ているとします。そして今朝から食事をまったくとることができず、38.7度の発熱があって寝込んでいます。こんな時、あなたなら次の行動のなかからどれを選択しますか?

(1)救急車を呼ぶ
(2)病院に連れて行く
(3)診療所に連れて行く
(4)往診を頼む
(5)もう少し様子を見る

いかがでしょうか。ここであなたが選択した答えに、医療的な正解はなく、どの答えもあなたにとっての正解になります。

『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(著:中村明澄/講談社)

そこでもうひとつ質問です。今と同じ質問で、対象があなたのお父さんではなく、「あなた自身が90歳だったら」どうしてほしいでしょうか?

先ほどのお父さんの時に選んだ答えと違う答えを選んだ方もいるのではないでしょうか。

同じ状況であっても、対象が変わることで、選択は変わってきます。もちろん、ここで選択した答えにも、医療的な正解はありません。講演会などでこの質問をすると、どの選択肢にも手が挙がりますし、二つの質問で答えが変わる方もいます。それでいいのです。年齢や生活スタイルや性格、もともとの健康状態や持病の有無などによっても、何を選ぶかが変わってきます。