ことごとくミュージカルのオーディションに落ちて
歌舞伎も大きな意味で言ったら「ミュージカル」なのではないかと今でこそ解釈していますが、学生時代は全く違う世界のことだと思っていました。ただ純粋に劇団四季を観にいったり、歌うことも好きでしたので、カラオケでミュージカル曲を最初から最後まで通して歌ったりしていました。
その時ですね、知人で同じくミュージカルが好きだった中村七之助くんが「うまいから出てみれば?」と僕をおだてたんです。「そうか、出てみるのもありか」なんて、その時は安易に考えてオーディションを受けにいきました。
ところが蓋を開けてみれば全然ひっかからなかった(笑)。不合格の通知を受け取るたびに悔しくて「『出てください』って頼まれる役者になってやる」と反骨心を募らせていました。今思うと、あれは反骨のエネルギーを育てる貴重な経験だったのかなと。
ただ実際『騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談』後にお声がかかって、『ロミオ&ジュリエット』の出演が決まり、お稽古に入った際はミュージカル俳優さんたちのあまりの歌の上手さに、足が震えて帰りたくなりましたけど。(笑)