「まだまだ外の世界でも新しい挑戦をしていきたいと思っております」

親に悔しがってもらえればそれでいい

バラエティでふざけている姿を知っていただけているからでしょうか、僕はあまり反骨精神のある人間には見えないみたいですね。僕の父は歌舞伎俳優ですが、名門の出ではなく部屋子から歌舞伎界に入った人でした。

早くに亡くなった父も、女優でしたが結婚するために役者をやめた母も、志半ばで、僕に人生のバトンを渡してくれた。それを無にすることはできないんですよね。母はとにかく情熱的で猪突猛進、石橋を叩かず走り抜けるような人。僕はそんな母を見て育ち、少し慎重さを身につけました(笑)。ただ母の胸にある情熱は受け継いでいるのではないでしょうか。

母は僕が10歳の時、大河ドラマ『八代将軍吉宗』で、吉宗の幼少期を演じた際にはドラマの撮影現場に来ていました。子役とは言え主役でしたので喜んでもらえていたと感じます。

それ以降も何回か大河ドラマに出ていますが、出番が少ないと悔しそうにしていますし、わざわざ感想を聞いたりはしません。(笑)

母は自分のことのように応援してくれていますけど、役者同士の親子って、みんなどこかライバルのところがある。天国の父があちらで僕に妬いてくれていれば、僕としたら本望なんです。「うんうん、よくやった」と父に微笑まれるよりも、父が心底悔しいと思うような、やりたくてもやれなかった役を演じられたら、ある意味で一番の親孝行なのかなと。

父は歌舞伎だけに情熱をつぎ込んだ人でしたが、僕自身はいつも新しい経験が歌舞伎に活かされているように感じます。歌舞伎界には伝統を守る方とチャレンジする方、その両方が必要とされていると思っています。いろいろなエネルギーが1つの舞台のために再集結することで、歌舞伎は守られていくのではないでしょうか。最近は“歌舞伎界を背負って立つ心意気”などを質問していただき光栄ではあるのですが、まだまだ外の世界でも新しい挑戦をしていきたいと思っております。

『スリル・ミー』

ミュージカル『スリル・ミー

“私”と“彼” そして一台のピアノのみで繰り広げられる
息をもつかせぬ究極の100分間

4年前、「私」が「彼」とともに起こした犯罪史上に残る残忍な誘拐殺人事件。動機とされているのはただ一つ、スリルを味わいたかったから。だが、それが真実のすべてではなかった。やがて明らかになる本当の動機、隠された真実とはー?

【原作・脚本・音楽】
Stephen Dolginoff

【翻訳・訳詞】
松田直行

【演出】
栗山民也

【出演】
尾上松也(私役)×廣瀬友祐(彼役)
木村達成(私役)×前田公輝(彼役)
松岡広大(私役)×山崎大輝(彼役)

【ピアニスト】
朴勝哲 落合崇史 篠塚祐伴

【日程・会場】
9/7(木)~10/3(火) 東京・東京芸術劇場 シアターウエスト
10/07(土)~10/09(月) 大阪・サンケイホールブリーゼ
10/11(水)~10/12(木) 福岡・キャナルシティ劇場
10/14(土)~10/15(日) 愛知・ウインクあいち 大ホール(愛知県産業労働センター)