死後にお金を遺すより生きている間に使う

色川さんを看取った私は、今年めでたく〈後期高齢者〉になりました。いよいよ私自身、「納得のいく人生の終い方」について、待ったなしで考えねばならないお年頃となったわけです。

私は40歳で初めて遺言書を書き、それ以降数年に1度、更新しています。書き換えるのは、年月がたてば自分自身を取り巻く状況も人間関係も変わるからです。遺言書は自筆で書き、弁護士に預けてあります。

管理費として20万円お支払いしましたが、費用はそれだけ。自筆証書遺言が一番手間も費用もかかりません。遺言執行人は、親しい友人にお願いしています。

若い頃の私は、貧乏も経験しました。その後、人並み以上に働き、それなりの蓄えもできました。死ぬまで暮らせる住まいも確保してあります。

そもそも私は、お金のかかる生活をしておりません。ブランド物にも宝飾品にも興味がない。洋服だってユニクロを愛用。このままだと、100歳まで生きたとして、医療・介護費用などを考えてもどうやら使いきれなそうです。

子どもはおらず、きょうだいは幸い安定した暮らしをしており、遺す相手はいません。だったら、どうするか。数年前から真剣に使い道を考えるようになりました。