見えていない問題を可視化していきたい

生存者の方に書き上げた本を贈ったら、「ティッシュを傍らに置いて泣きながら読んだ」と言われました。

これからも、ジャーナリストとして見えていない問題をしっかり可視化していきたい(撮影◎本社 奥西義和)

また、事故の情報公開訴訟に携わる弁護士の清水勉さんが「苦しんでいる人たちのために、どうしてこういう結論になったのか明らかにさせましょう。今後、運輸安全委員会に同じことをさせないためにも、一つの楔(くさび)にしたい」と言っていらっしゃって。これは本当にその通りだな、と。

これからも、ジャーナリストとして見えていない問題をしっかり可視化していきたい。それによって、多くの方が問題を知ることができるはずなので。

そしてその結果として、少しでも社会が良い方向に変わってくれればいいな、とあらためて感じています。


黒い海 船は突然、深海へ消えた』(著:伊澤理江/講談社)

なぜ、沈みようがない状況下で悲劇は起こったのか。調査報告書はなぜ、生存者の声を無視した形で公表されたのか。ふとしたことから、この忘れ去られた事件について知った、一人のジャーナリストが、ゆっくり時間をかけて調べていくうちに、「点」と「点」が、少しずつつながっていく。現れた事件の全体像とは。そして彼女が描く「驚愕の真相」とは、はたして…。第45回講談社本田靖春ノンフィクション賞、第54回大宅壮一ノンフィクション賞、第71回日本エッセイスト・クラブ賞、日隅一雄・情報流通促進賞2023大賞受賞作。