『ぼくらの七日間戦争』

主人公たちは、中学1年生。まだ夏休み前の時期。自由だった小学校時代と違って、中学の窮屈さに辟易している。

学校には制服があるし、前髪の長さにも制限がある。遅刻も厳しく管理される。当時は管理教育の全盛時代だ。

『1973年に生まれて: 団塊ジュニア世代の半世紀』(著:速水健朗/東京書籍)

管理教育は、学校が生徒に集団行動を徹底させ、一元的に管理する教育の体制のこと。学生運動時代に学校の自由化が進み、その揺り戻しの要素もあった。

学校の行きすぎた管理に反旗を翻す男子8名が近所の廃工場を秘密基地として学校をボイコットする。当初は一部の男子生徒だけが立てこもるのだが、途中から宮沢りえら女子3名も加わる。

女の子たちが当初、仲間に誘われなかったのは、「不純異性交遊」を盾に学校外での行動にも制限を付けようとする先生側の策略に乗らないため。

この11名は元々の仲良しグループではない。サッカー部員もいればガリ勉、不良タイプもいる。普段は口をきかない者同士が集まっている。

この辺りはジョン・ヒューズ監督の『ブレックファスト・クラブ』(1985年公開)のようでもあるが、絶妙なのは、まだローティーンであるという年齢設定だ。

青春のちょっと手前の時期。薬師丸ひろ子や原田知世が出ていたようなアイドル青春映画路線の角川映画(『ぼくらの七日間戦争』も角川映画である)にはなかった要素が描かれている。恋愛よりも冒険、友情、親や学校への反発が彼らにとっての最大関心事なのだ。