映画のおもしろさは、現実の学生運動と違い、生徒側が大勝利を収めるところにある(写真提供:Photo AC)
日本で1971年(昭和46年)から1974年(昭和49年)に生まれた第2次ベビーブーム世代、いわゆる<団塊ジュニア>も、多くが50代へ突入しつつあります。激しい受験戦争や就職氷河期などを通過した世代でもありますが、その間、何が生まれて何が失われたのでしょうか。自身も団塊ジュニア世代で、ライターとして活動する速水健朗さんいわく「『ぼくらの七日間戦争』公開当時は管理教育の全盛時代」だったそうで――。

宮沢りえの映画デビューは事件だった

宮沢りえは、話題に事欠かない存在だが、中でも映画デビューは鮮烈だった。映画『ぼくらの七日間戦争』(1988年8月13日公開)の当時の宮沢は15歳。同じ年の女優が映画で活躍しているのを見ることが鮮烈だったのもあるが、それだけではなかった。

映画の冒頭は、中学生たちが登校してくる場面だ。校門が閉まる遅刻すれすれのタイミングで宮沢りえがすり抜ける。のちの宮沢は華奢なイメージが強いが、この作品では大きな体とダイナミックな動きを冒頭から印象づけられた。

モデルとしての宮沢は、三井のリハウスなどのCMですでに知られた存在だったが、映画での役柄は、お嬢様白鳥麗子とは違い、活発さがまず前面に出る。

学級委員長をこなす優等生でありながら、学校をサボる男の子たちへの理解を示す面もある。そして、自分もその輪に加わってもいく。