意外にもスルスルと
縫い直し縫い直し、やっとこさ縫い付けたと思ったら、服地に縫い縮みしてしまって、れれれれれ…。そして縫い直し無限ループにはまるのだ。
ふひゅー。
そんなことをまた覚悟しながら瑛介が中学野球にチームにはいったのだが、このチーム、
まさかの「背番号は選手本人が自分で縫う」決まりなのである!!!!!
高校に上がった時、野球寮生活では背番号を自分で縫うことになる場合がある。だから今のうちにできるようになっていれば、どんな高校に行っても苦労しなくて済むとだろう、という教育なのだと思う。
まさに!料理や裁縫は男女関係なく、できて困ることなんて一つもない。またここで親が手を掛けてしまえば、いつまで経っても「誰か」にやってもらわないとできない人になってしまうのだ。
チャーンス!!いまがまさにチャンスではないか。
私の拳は天高く突き上がった。
きびしいようだが、これも最初はどんな出来でも構わないから、とにかく一人でやってごらん。
瑛介は案外素直に聞き入れ、針と糸を手に縫い始めた。親心でユニフォームの中に下敷きを入れて貫通を防ぐ工夫を施した。そばで見ていたら口も手も出したくなるので、私はその時台所に立って遠くから様子を見ていた。
何度かヘルプを求めてきたが、意外にもスルスルとなみ縫いがはかどる瑛介。
そして出来上がったのが、これ。
…やるなあ。上出来。
なんかお母さんが縫うのとあまり変わらないのは気のせいか。お母さんの写真、出すんじゃなかった。
これから何度かこれを繰り返すたびに、いつのまにかちょちょいのちょい、で上手になっていくのかな。
ちなみに大阪の兄はどうしていたんだろう。
本人に聞いてみたらあっさりと、
「できる友達に縫ってもらった」と白状した。
お友達に感謝。
あのなぁ…。