大神さんが縫い付けた背番号

 

大神いずみさんは、読売巨人軍のコーチ、元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。苦しいダイエットをしている最中に、長男が大阪の高校で野球をやるため受験、送り出すという決断をしている。夢と希望にあふれてスタートした高校生活はコロナや怪我で波乱万丈。そしてこの夏で引退を迎えた。球児の母として伴走する大神さんが、この2年を振り返る。

前回「夫・元木大介はトラウマでカレーが食べられない。息子2人は米飛沫を上げてガッツポーズなのに…」はこちら

黄色い声の正体は

「ぅぎゃーーーっ!!
でた!誰かたぢけてーー、きゃーん!!!」

いつも野太いおっさん声とわんわんキャンキャン宅急便さんに吠える犬の声しか聞こえない我が家に、突如響き渡る黄色い悲鳴。
私ではない。

大阪にいる「太ももオバケ」、シーズン終盤で這うように起き出して名古屋遠征に向かった「作戦兼内野守備コーチ」とこの私を除いて、いつのまにか背丈と足のサイズが兄を越してしまったでっかい図体、中一坊主の瑛介しかこの家にはいないではないか。

あんた女子か!?というくらいキャンキャン大騒ぎしている目線の先には、我が家ではもう20年以上のお付き合いになる「ムカデ」「ゲジゲジ」の類いがピッとも動かず壁に現れている。特に雨上がりに裏の遊歩道あたりの木々から降りてきて、何食わん顔で我が家のいたるところに出没するのだ。

ワシャワシャと長い足が数え切れないくらいあるものから、黒くて頭の赤い、見るからに「キケン」と思しきそれまで…こうして人に説明しているだけでも嫌われそうな、明らかな害虫である。もう…名前もよくわからない。