四股名は、決まってから教えてもらいました。御嶽山(おんたけさん)は地元だからわかるけれど、「みたけ」という読み方もできるって、知らなかった。字は同じなのにね。やっぱり日本語は難しい。でも、「みたけうみ」という発音には、すぐになじんだ。覚えやすい、いい名前です。16年9月、初めて大銀杏(おおいちょう)を結った姿を見た時は、カッコいい! と思ったよ。侍みたいな感じで、 結う前とは別人のようでした。
2017年までは、時々東京に会いに行っていたよ。LINEで「行ってもいいですか?」と聞くと、「この日ならOK」と返事。そして、必ず新宿駅まで迎えに来てくれる。ママが道を間違えると困るからって(笑)。「ママ、大人だから迷わないよ」と言っても、「東京は広いし、ママは慣れていないから」と、心配してくれる。
「ママは泣虫だから。僕に任せて」
今の望みは、まずは大関になること。だけど、ケガだけはしないようにと、ママはいつも祈っています。入門した年に顔に張り手を受けて、血がたくさん出た時は、泣いたよ。何針も縫ったから。なんてひどいことするの! と思った。でもそういう世界だってこともわかってる。
だから、日曜日には教会で、ケガがないようにお祈りします。「ママだけではなく、みんなも祈ってくれているからね」と言うと、久司はいつも、「サラマッポー(ありがとう)」と返してくれます。本当はそんなこと口にしてはダメだとわかっているけれど、つい「勝ってもケガしたら、ママ泣くからね」と言ってしまう。すると、「ママは泣き虫だからね。でも大丈夫だよ。僕に任せて」って言うの。
最近はすごく忙しいから、なかなか上松に帰ってこられない。でも今年6月、移動の途中で寄ってくれました。夜の10時くらいに来て、朝の8時にはもう出なくてはいけない。少ししか会えないけど、それだけで十分、ママは元気になります。バイバイする時、私が「アイ・ラブ・ユー」と言うと、「ミー・トゥ(僕も)」。昔は「アイ・ラブ・ユー」と言ってくれたのに、プロになったら「ミー・トゥ」になっちゃった。(笑)
私、人から注意されたんですよ。あまり人前で、息子に「アイ・ラブ・ユー」って言わないほうがいいよって。なんでダメなの? 日本人は気持ちを出さない。でも、ママは恥ずかしくない。本当の気持ちだから。子どもへの愛、直接言ったほうがきっと通じるよ。すると、子どもも親を大事にしてくれる。「言わないで察して」なんて、やっぱり寂しいよ。
将来久司が結婚したら、息子よりお嫁さんのほうと仲良くしたい(笑)。お嫁さんにも、私の大事な子どもを守ってほしいから。ママはいつも一番の味方です。
大関取りがんばれ! でもケガしないでね。アイ・ラブ・ユー。