あらゆる不調を呼ぶ
やっかいな脂肪

もともと内臓脂肪には、体の機能を調節するための物質を分泌する役割があります。その物質のなかには、食欲を抑えるなどいい効果をもたらすものがある一方、悪い働きをするものも。

内臓脂肪が適正量であれば、いい効果のほうが優勢ですが、増えすぎると悪い効果のほうが優勢になってしまうことが明らかになっているのです。

なかでも注意が必要なのは、インスリンがうまく働かなくなること。インスリンが働かないと血糖値が下がらなくなるだけでなく、細胞がブドウ糖を取り込めず、エネルギーを作ることができません。ですから、脳は過剰にインスリンを作らせる命令を出し続けることになる。

それでうまくまわればよいのですが、高濃度のインスリンには困った性質があり、血圧を上昇させてしまうのです。すると、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞の危険性が高まります。

また、インスリンの過剰分泌と動脈硬化は、認知症の進行を早めることもわかっているのです。

●内臓脂肪が引き起こすリスク

 

さらに、内臓脂肪はがんを引き起こすきっかけにも。本来細胞には、体にとって不都合な細胞が自然と淘汰される、「アポトーシス」という機能が備わっています。ところが大量のインスリンが分泌されると、アポトーシスが効きにくくなり、悪い細胞が増殖するのです。

ほかにも、胆石や骨粗鬆症を引き起こすおそれがあるなど、内臓脂肪はまさに万病のもと。

実は、日本人を含むアジア人は、欧米人に比べて皮下脂肪が少ないものの、内臓脂肪は多く付きやすい体質です。スリムに見える人でも、内臓脂肪を溜め込んでいる場合があるので、意識して落とすように努力しましょう。

<後編につづく