ジャングルに雑草が生えないワケ

ちなみに、これは言うまでもないことであるが、実際には、ジャングルに雑草は生えない。

雑草は、道ばたや公園、畑など、人間が作り出した環境に生える。

人間が作り出した環境は、野生の植物にとって適した環境であるとは言えない。このような特殊な環境に生えるためには、特殊な環境に適応した性質が必要となる。その性質を持っているのが、「雑草」と呼ばれる植物たちなのだ。

つまり、何でもない植物が何となく生えているわけではない。

どんな植物でも雑草になれるわけではない。雑草として生えているのは、特殊な進化を遂げた特殊な植物たちなのだ。

それでは、どんな植物が雑草として進化を遂げているのだろう。

意外に思えるかもしれないが、雑草と呼ばれる植物は「弱い植物」である。

何に「弱い」かと言うと、それは植物同士の競争に弱い。ジャングルのような場所では、植物たちが群雄割拠してしのぎを削っている。競争の激しい場所では、雑草は生えることができないのである。

ジャングルでなく、森林でも同じである。植物たちが競争を繰り広げるような場所に、雑草は生えることができないのだ。

植物たちが競争を繰り広げるような場所に、雑草は生えることができない

ところが、人間が草刈りをしたり、管理をしたりするような環境では、強い植物たちは生えることができない。そこで弱いと言われる雑草にも、生えるチャンスが生まれるのだ。

「雑草は強い」という印象があるが、それはアスファルトのすき間に生える強さであったり、抜いても抜いても生えてきたりする強さである。雑草は競争に弱い植物であるが、困難な環境を乗り越える「強さ」を持っているのである。

ぐんぐん伸びる雑草は、競争力も強いのではないか、と思う方もいるだろう。

もちろん、草ボーボーの草むらでは、雑草同士が競争し合っている。しかし、それは弱いもの同士の競争である。大きくなる木々とは、とても勝負にならない。

また、花壇や畑では、競争に強いように見えるかもしれないが、それは相手が、人間に水や肥料をもらわなければ育たないような作物や草花だからである。競争に弱いとはいっても、雑草は人間に飼われている植物に負けるほど弱くないということなのだ。