真犯人はブタクサだった
花粉症自体は、古くから知られていたが、私が学生の頃、患者数が増えるなど問題が顕在化しつつあった。
そして、誰の目にも明らかな悪者である、セイタカアワダチソウが花粉症の犯人であるとされたのである。確か、病院だったか保健所のポスターにも花粉症の原因として、セイタカアワダチソウが掲載されていた。
しかし、植物を学ぶ私たちは、セイタカアワダチソウは花粉症の原因になり得ないと知っていた。セイタカアワダチソウは、虫が花粉を運ぶ虫媒花なので、花粉をばらまくようなムダなことはしないとわかっていたのである。
むしろ、秋の野の花を回らなければならないはずのハチたちが、みんなセイタカアワダチソウに惹かれて行ってしまうことのほうが、問題だと思っていた。
もちろん、後に、セイタカアワダチソウが花粉症の原因とならないことは一般の人たちにも知られるようになる。そして、花粉症の原因となる真犯人は、ブタクサという別の外来の雑草であったことがわかったのだ。
ブタクサは、セイタカアワダチソウと同じく北アメリカ原産のキク科の植物である。どちらもキク科の植物だが、ブタクサとセイタカアワダチソウは大きく違うところがある。
じつは、ブタクサは花粉を風で飛ばす風媒花なのだ。