韓国系スーパー、Hマート

開店から3年を経過したころから変化が訪れた。フードコートにタイや中華系といった非日本系の出店が増え、スーパーマーケットで扱う食材もアジア食材が増えてきた。

結局1997年に日本のヤオハンが倒産し、ヤオハン・プラザはマレーシア資本に買収されてオリエンタル・シティとして生まれ変わった。

が、それもまた経営破綻し、現在では敷地面積を大幅に削減してスーパーマーケットなどの店舗を廃し、東南アジア系二十数店が食事を提供するロンドン最大のフードホールになっている。

日本の巨大スーパーマーケットが短命だった一方で韓国系スーパー、Hマートが安定している。ヤオハン・プラザとは逆にロンドンの南、いわゆるコリアン・タウンと呼ばれるニューモルデンに2011年に開店した大型スーパーである。

もちろん韓国食材が主体だけれども、日本、中国、タイ、ベトナムなど東南アジア各国の食材が手に入るので客の顔ぶれはさまざまだ。ひとつ屋根の下に東南アジア諸国を入れたのは、成功の一因だったように思う。

※本稿は、『異邦人のロンドン』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。


異邦人のロンドン』(著:園部哲/集英社インターナショナル)

朝日新聞GLOBE「世界の書店から」の筆者が綴る、移住者たちのトゥルー・ストーリー。

移民、人種や階級差別、貧富の差……。さまざまな問題を抱えながら、世界中から人を集め続けるロンドンの実像を鮮やかに描く。