ニューアルバム『恋愛小説4~音楽飛行』に込めた想い
今回制作したアルバムの選曲は、私の生まれた1960年代と、それに続く70年代の曲に絞りました。「当時から多くの人に愛されてきた名曲をカヴァーで歌おう」――これがアルバム制作の原点です。そこからプロデューサー、ディレクター、スタッフ、私のみんなでアイデアを出し合って1曲ずつ丁寧に選んでいきました。
とはいえ、なかなか最後まで決まらない曲もあって。ずっと一緒に音楽をやってきたプロデューサーの伊藤ゴローさんをはじめとして、私の歌や声を理解してくれているスタッフのみなさんと共に、それぞれ違う角度から意見を出し合いました。信頼のおけるメンバー同士で納得しながら進められたので、完成したアルバムの出来栄えには満足しています。
今回は8年ぶりの洋楽カヴァー集ということで、レコーディングに関しては英語の発音の練習からはじめました。私が英語を流暢に話せる人だったら、なんの苦労もないんですけどね(笑)。ボイストレーナーの先生と発音の練習をしたのですが、洋楽独特のリズムに慣れるのにも時間がかかりました。洋楽のリズムって、邦楽とは違うので、通常のレコーディングよりも多めに時間をとってもらい、しっかりレッスンした上で収録に臨みました。
英語で歌うと声のニュアンスが変わるので、普段は出せないニュアンスが出せたりするのも面白かったです。8年ぶりの挑戦でしたが、「自分の歌を育てるには、洋楽はすごく良い」と改めて感じました。発音練習もそうですけど、“学ぶこと”ってすごく大切で。学びには必ず結果がついてくるから、頑張ろうと思えるんです。
洋楽カヴァー集を作れるチャンスはそう多くないので、大事なチャンスを無駄にせず、みんなで楽しみながら良いものを作りたい。そんな想いで取り組みました。35周年から40周年までは忙しくも充実した日々が続いていたので、今年は少しゆったりしたいなと思っていたんです。ちょうどそのタイミングで今回のアルバム企画のお話をいただいたので、8年前にくらべて2023年は音楽をじっくり作れた1年でしたね。