影響を受けたアーティストは、久保田早紀さん
音楽活動において大きな影響を受けたアーティストは、久保田早紀さんですね。デビュー前、故郷の長崎に住んでいた頃、久保田さんのアルバムをカセットに録音してずっと聴いていました。『恋愛小説2~若葉のころ』で「異邦人」をカバーさせていただいたのですが、本当は他の曲もカバーしたいぐらい大好きなんです。
久保田さんの声が好きなのはもちろん、ポルトガルの民族歌謡「ファド」を取材して現地でレコーディングされた曲もすごく好きで。1970年代、キラキラした楽曲が多かった音楽界の中で、彼女が歌いはじめるだけで空気が変わるような独特のムードを持った方でした。どこにも力を入れていない歌い方が誰にも似ていなくて、子ども心に久保田さんが持つ世界観に強く惹かれましたね。
20代の頃、女優業と歌を切り離して自分を表現する場所を作りたくて模索していた時期には、シンニード・オコナーさんの歌をよく聴いていました。私とは対極にいるような方だけど、彼女の表現力には圧倒されるばかりで。ちょうどその頃の私は、自分の内側にこもっていろいろ迷っていた時期でもあったんです。そんな時、自分だけの世界にふっと入って心を落ち着かせる存在としてシンニードさんの曲が傍にありました。
私がシンニードさんの曲に支えられてきたように、音楽には人を救う力があります。なので、自分がこれまで残してきたものに「癒やされます」と言っていただけると、歌う喜びを感じますね。“私の歌もちゃんと誰かに届いているんだ”と思えます。