【正解は……マイタケ!】

なぜ、舞茸で卵液が固まらなくなるのか?

茶碗蒸しは卵のタンパク質をゆっくり加熱して固めた料理。一気に加熱せず、低めの温度でゆっくり加熱することで、ツルンとした食感に固まります。ところが、生のマイタケを加えると、卵のタンパク質が固まらなくなる。

その原因となっているのが、マイタケに含まれているタンパク質分解酵素です。

タンパク質分解酵素は、その名のとおりタンパク質を分解する酵素。パイナップルやキウイフルーツ、麹、ショウガ、玉ねぎ、リンゴなどにも多く含まれています。肉にすりおろした玉ねぎやリンゴをからめておくと柔らかくなるのは、タンパク質分解酵素が肉のタンパク質を分解してくれるから。肉が柔らかくなるというわけです。

マイタケ効果でお肉がしっとりやわらか(写真提供:著者)

しかし、茶碗蒸しにとってのタンパク質分解酵素は迷惑な存在。卵のタンパク質を分解してしまうため、卵が固まらなくなる。だから、マイタケ入りの茶碗蒸しはレアな料理なのです。

ちなみに、エノキや他のきのこにもタンパク質分解酵素は含まれていますが、卵を固まらなくするほどの力はありません(エノキの茶碗蒸しが一般的ではない理由は不明。表面に浮かんだエノキの見映えがあまりよくないからかも……?)。舞茸に含まれるタンパク質分解酵素が断トツでパワーが強いため、卵が固まらなくなるというわけです。

ん? でも、オムレツにマイタケを入れても卵は固まる。どういうこと? と思った人、鋭い疑問です。

タンパク質分解酵素は、熱に弱いのが特徴。約50~70℃で壊れると言われています。一気に高温になる炒め物などでは、タンパク質分解酵素はすぐに壊れてしまうため、卵のタンパク質が分解されることはありません。ところが、低い温度でゆっくり加熱される茶碗蒸しでは、タンパク質分解酵素はなかなか壊れない。そのため、卵のタンパク質は分解され、いつまでたっても固まらないのです。