●胆汁酸のサイクル

古い胆汁酸は速やかに排出しよう

ではどうしたら胆汁酸を増やすことができるのでしょうか。そのためには胆汁酸の「循環の仕組み」について説明しなくてはなりません。

胆汁は1日に600mLから1Lほど作られ、そのうち胆汁酸は30gほど。それを体内で循環させ、「リサイクル」しているのです。胆汁酸は十二指腸と小腸で脂質の消化吸収を助けた後、約95%は回腸(小腸の後半)や大腸の腸壁から吸収され、血液にのって肝臓に戻り、「二次胆汁酸」として再び消化吸収に駆り出されます。

最終的にボロボロになるまで使われ、残りカスだけが排出されるのですが、これは人類の飢餓の歴史により備わった仕組みと言えるでしょう。

古代から長い飢餓の時代を過ごしてきた人間にとって、胆汁酸の原料となるコレステロールは貴重な成分でした。そのため、一度消化吸収に使われた後も大切に胆汁酸を再利用することで、コレステロールの無駄遣いを防いできたのです。この機能は飽食になった現代も変わっていません。

じつは、劣化した胆汁酸は消化吸収や代謝を高める働きが悪くなるだけでなく、腸管内や肝臓内に残ると大腸がんや肝臓がん、脂肪肝の原因になることが明らかに。加えて、自律神経の乱れや肌荒れを引き起こす原因になるとも言われています。つまり私たちのDNAに備わっている胆汁酸リサイクルの仕組みは、飽食によって《無用の長物》になってしまったわけです。

ですから今必要なのは「新しい胆汁酸」だけです。幸いなことに、体内の胆汁酸総量は一定に保たれています。古い胆汁酸が減ると自動的に新しい胆汁酸が作られるため、まずは古い胆汁酸を便と一緒に積極的に排出することが重要です。

胆汁酸の原料はコレステロールですから、新しい胆汁酸を作ることで、体内のコレステロールが使われる=減る(コレステロール値が下がる)というメリットも。フレッシュな胆汁酸は脂肪燃焼作用も高いので、どんどん脂肪をエネルギーに変換する効果があります。

「最近、やせにくくなった」と感じるのは、新しい胆汁酸の割合が少なくなったサインとも言えるでしょう。