座った時に、手を重ねて膝に置く姿は清楚さを感じ、好感をもたれます(写真提供:photoAC)
世界的にも情勢が安定せず、厳しい環境に置かれている人や不安な心でいる人が多い中、あらためて日本文化の良さの学び直しを提唱するのは、茶道家の竹田理絵さん。茶室を開設して10ヵ国以上の国々で点前を披露し、日本の伝統文化を伝えてきた竹田さんいわく、「置かれた環境に左右されることなく、心穏やかに日々を過ごす」考え方が、茶道を通じて得ることができるとのこと。清楚さや美しさが生まれる、日常生活に取り入れられる茶道の「所作」とは――。

手を膝の上で組む(重ねる)

電車や待合所などで座った時の手の置き場所、どうしていますか?

茶道では、お客様は必ず、膝の上で手を組んで座ります。

裏千家の茶道では、国際標準のマナー(右手の上に左手を重ねます。古来より右手は武器を持つ手で、その右手を左手で抑えることで、相手に敵意のないことを表します)とは反対に、左手の上に右手を重ねます。

それは、裏千家十四代家元の無限斎(1893〜1964)が、座禅における手の組み方をひっくり返した形が、右手が上になることから定めたものです。茶道と禅は密接に結びついているため、手の組み方の中にも禅の精神を取り入れたのです。

座った時に、手を組んで膝に置く姿は清楚さを感じ、好感をもたれます。マナーの上からも、ぜひ習慣にしてみてください。